骨粗鬆症の治療がなぜ必要か?
Osteoporosis
当院では、他職種で骨粗鬆症の治療に取り組んでおります。
骨粗鬆症とは

「気づかないうちに進行する静かな病気」
骨粗鬆症は、骨の組織がスカスカになって骨の強度が著しく低下する疾患です。
この病気になると、通常では考えられないような軽い衝撃でも骨が折れやすくなってしまいます。
例えば、咳やくしゃみをした際の体への負荷や、ちょっとした転倒で手をついた程度の軽微な外力であっても、骨折を引き起こす恐れがあります。
特に深刻なのは、一度骨折を経験すると「骨折の悪循環」が始まることです。特に最初の骨折から1~2年の間に、次の骨折が高い確率で発生するという特徴があります。
そのため、症状が現れる前から予防的に骨密度の測定を定期的に受けることが、早期発見と適切な対策のために非常に重要となります。
進行するとどうなる?
骨粗鬆症により骨折が発生しやすい身体の部位
骨粗鬆症が進行すると、特に骨折が起こりやすくなる箇所として、手首の骨(橈骨)、肩に近い腕の骨(上腕骨)、背骨の椎体(脊椎椎体)、そして太ももの付け根部分(大腿骨近位部)が挙げられます。
脊椎圧迫骨折について
脊椎圧迫骨折は、背骨が体重などの負荷によって押しつぶされることで発生し、結果として背中や腰が曲がってしまう状態を指します。この種の骨折は症状が軽微であることが多く、単なる腰の痛みと勘違いして見過ごされがちです。たとえ一箇所の骨折であっても、その周辺の骨組織に負担が集中し、連鎖的に他の箇所でも骨折が生じる可能性があるため、迅速な発見と治療開始が極めて重要となります。
大腿骨近位部骨折の特徴
太ももの付け根で発生する骨折の約85%は転倒事故が原因となっています。この部位を骨折すると歩行能力を失い、日常生活に支障をきたして介護を要する状態になるリスクが著しく増加します。そのため、骨粗鬆症の医学的治療を進めると同時に、転倒事故を未然に防ぐための環境整備や予防策の実施が不可欠です。
早期発見・早期治療の重要性
まずは骨密度検査を受けて現在の骨の状態を把握し、もし数値が低い場合には、迷うことなく薬物治療を開始することをお勧めします。現在の薬物療法は効果が高く、骨折が起こる危険性を確実に低減させることが可能です。
骨粗鬆症と健康寿命の深い関わり

日本は世界有数の長寿を誇る国として広く認知されています。
近年の医療や福祉の分野では、単純な生存期間の延長だけでなく、身体的な制約や不調に悩まされることなく、自立した質の高い生活を維持できる期間である「健康寿命」の重要性が注目を集めています。
日本における平均的な寿命と健康寿命のデータを照らし合わせてみると、男性で約9年間、女性で約12年間という大きな差が存在しています。
これらの数値は、人生の終盤において健康上の問題を抱えながら過ごす期間が相当な長さに及んでいることを物語っています。骨粗鬆症の発症を未然に防ぐための積極的な取り組みを行い、私たちの体を支える基盤である骨組織を健全な状態で維持することで、充実した健康寿命の実現を目指していくことが大切です。
まずは、骨密度の検査をされてはいかがでしょうか?